ラバー

卓球のラバーとは、ゴム製のシートとスポンジを貼り合わせたもの(但し一枚ラバーはシートのみ)。この部分でボールを打球する。シートの片面は平らで、もう一方の面には粒、あるいはイボと呼ばれる円柱状の突起が密に並んでいる。日本国内外の公式試合に使用するラバーは、見える場所にメーカー名、国際卓球連盟の公認(ITTFA)、日本卓球協会の公認の表示(JTTAA)が義務付けられている。2006年4月以降の国内での大会より、国際卓球連盟の公認ラバーであれば、JTTAAがないラバーでも使用が認められるようになった。2008年以降発売されている国際卓球連盟の公認ラバーは、ITTFAマーク、メーカー番号及び登録番号が縁で囲まれた形で表示されるようになった。

ラバーの特性は、シートとスポンジの特性の組み合わせによって決まる。従って、同じシートに異なる特性のスポンジを組み合わせた製品ラインナップや、同じスポンジに異なるシートを組み合わせたラインナップが用意されることがある。一般に、硬いシート・スポンジは相手の球質に影響されにくく強い打球を可能にするが、コントロールが難しくなる。これにラケットの特性も影響するため、自分に合う組み合わせを見つけるためには試行錯誤が必要となる。

ラバーの色は明るい赤と黒のみが認められている。ラバーを貼った面の反対側の面には異なる色のラバーを貼るか、異なる色に着色しなければならない。これは、異なる性質の同色ラバーをそれぞれの面に貼った場合に、相手選手が見分けられなくなるためである。厚さについては、ラバーシートの厚さは2mmまで、ラバーシートとスポンジの合計の厚さは4mmまで、と定められている。一般的にラバーは厚ければ厚いほど強い球が打てるが、コントロールは難しくなる。その他、粒の形状に関して規定が詳細に定められている。

ラバーは耐久性があまり高くない。放っておいても乾燥や酸化でゴムが劣化するうえ、球を食い込ませたり回転を掛けるために擦ったりするので、ラバーの摩擦力や弾力が落ちてくる。寿命による交換の目安は、一般の選手で1ヶ月、練習量が少ない選手でも2〜3ヶ月である。また、打球するうちにラバーに埃などのゴミが付着し、摩擦力が落ちてくる。これをふき取るための専用のラバークリーナーがある。

スピードグルー禁止や補助剤を用いた後加工が禁止になったことで、ラバーの選択にも変化が起きた。特に競技段階になると、従来から使用されてきた高弾性・高摩擦性ラバーではなく、テンション系ラバーの使用が激増している。現在は、粘着テンション系ラバーやテンション系表ソフトラバーも含めたテンション系ラバーを主流とし、異質攻撃が可能な粒高系ラバーなども使用されている。また、中国のメーカーからは製造段階でラバーのスポンジ面に補助剤グルーを塗布するという「已打底」というラバーが発売されており、ノングルーラバーを「未打底」として区別している。「未打底」については後述の公認接着剤の規定違反に触れず、「已打底」についても国際卓球連盟に認可されたラバーは日本国内の大会で使用が可能である。

裏ソフトラバー

シートの平らな面を外向きにしてスポンジと貼り合わせたラバー。ボールとの接触面積が大きくなるため、ボールに回転をかけやすい。現在最もよく使われている。特性により以下のように更に分類できる(以下の分類の中間的な性質のラバーも多数存在する)。
高弾性・高摩擦系
反発力が高いためスピードが出やすく、シートの摩擦力が高いため回転をかけやすい。弾道が曲線を描くので安定性が良く、伸びのあるドライブを打つのに適している。かつては最もシェアの高いラバーであったが、グルー禁止によりテンション系へ移行した人が増加したため使用者は減少している。40年以上もの歴史を持つラバーなど、ロングセラーラバーが多い。日本のメーカーの得意分野。
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